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環境分析と市場機会
マクロ環境分析
市場環境分析
内部環境分析



環境分析と市場機会


  市場動向や消費動向を的確に捉え変化に対してリアルタイムに対応し、他社に先駆けて顧客 が満足する商品を提供して利益に結びつけることが経営の基本となる。そのための経営理念や マーケティング目標を考える場合には、自社を取り巻く外部環境や自社の内部資源を正確に捉 え的確に分析できなければならない。
 外部環境分析には、政治・経済の動きや社会・文化の流れ、バイオ技術や情報技術などの技 術開発、資源や自然環境など自社の力ではコントロールすることができない影響要因であるマ クロ環境分析と、わが社の生存領域の購買動向や需要の変化、競合する他社とのシェア比較な どの市場環境分析に大別される。
 これに対して内部環境分析とは人や組織、資金力などの財政基盤、設備や機械などのインフ ラ、情報収集・分析能力など自社の経営資源を対象としている。

マクロ環境分析


 一般の中小企業におけるマクロ環境情報のリソースは、基本的には自社独自の力によって 収集するプライマリー・データよりも、インターネットで閲覧できるホームページや雑誌・ 業界紙、あるいは政府系一白治体系の白書や調査報告書などに示されているセカンダリー・ データが中心となる。しかし、インターネットから得られる情報の中にはゴシップ性を狙っ たものや、出所が不明な情報に手を加えただけの情報であることも多いので、利用する際に は十分に注意をしなければならない。
 分析の対象とすべきマクロ環境項目の例を次に掲げるが、全項目にわたって細かな分析を するには膨大な時間と労力がかかる。大切なのは、この中からトレントを先取りし自社の成 功要因となりうるファクターを見つけ出し、経営理念の妥当性を明確にすることである。

① 社会・政治
 ・人口動態、治安、行財政改革、失業率の増加、ワークシェアリングなど
② 法律・制度
 ・税制、規制緩和、ペイオフ、介護・医療費負担、4 0 1 K、情報開示など
③ 経済・景気
 ・景気動向、デフレ経済、ITバブル崩壊、不良債権処理など
④ 産業・技術
 ・業界動向、産業の高度化、バイオ技術、ベンチャー、空洞化現象など
⑤ 国際化・国際問題
 ・国際テロ、生産の海外移転、地球温暖化防止会議批准、ボーダレス化など
⑥ IT化
 ・マルチメディア、eビジネス、ERP、ネットワーク・セキュリティなど
⑦ 自然・環境
 ・異常気象、ゼロエミッション、グリヽ=-ン購買、還流ロジスティクスなど
⑧ 価値観・文化
 ・個の確立、バーチャル・リアリティ、eメールなど





市場環境分析


 市場や競合する業界の分析は、新規事業への参入や新製品の投入などを計画する場合、特 に重要である。
 市場環境分析はマクロ環境分析と異なり、数値で表されるデータを確率や統計学的に分析 しなければならないので専門的な知識が要求される。また、信頼できるデータを収集するた めには層別の取り方やサンプル数などが問題となることから、分析の目的を明確にして仮説 を立て必要な項目に絞り込んで効率よくできるだけ多くのデータを集めなければならない。

① 市場環境情報リソース
 市場環境情報のリソースとしては、自社独自で目的をもって行う実態調査などの調査 データ(プライマリー・データ)が最も有効である。自社には調査する時間や調査・分 析のノウハウがないなどという場合は、調査会社や有料データベースなどを活用するの も手段である。ただし、これら外部調査機関を利用する場合は相当額の費用を見込まな ければならない。

② 市場環境分析のポイント
 市場環境を分析する場合、市場規模(顕在顧客、潜在顧客)、購買動機、販売経路、 商品ごとに要求される特性などの「購買・需要分析」と、他社とのシェア比較(売上 高・顧客数など)、自社のポジショニング、代替素材、代替技術などの「競合・シェア 分析」の両面から分析を進めることがポイントとなる。

内部環境分析


 自社が持つ経営資源の分析を内部環境分析という。新たな事業戦略や事業計画を策定する 際には、幅広くしかもある程度の深さまで掘り下げる必要がある。自社の弱みを掘り起こし、 克服課題として取り組むことも必要だが、自社の核となる強み(コア・コンビダンス)を見 出し、外部環境分析で求めたビジネスチャンスとの組み合わせの中から有利な環境を整え、 確実に勝てる戦略を打ち出すためのポジティブな分析を重視すべきである。
 分析の方法としては、売上高、粗利高、シェア、認知度、顧客満足度など客観的数値デー タとして表すことのできる定量分析と、社員の問題意識や技術の評価、あるいは関連会社や 顧客の意見など数値では表しにくいデータを分析する定性分析とに大別される。

① 社内環境情報リソース
 定量情報リソースは、自社の年間予算表や売上予定表などと、それらに対する営業実 績や販売実績、得意先別売上実績、エリア別売上実績の他、有価証券報告書などが活用 される。また、定性情報リソースは、当該年度事業計画書、中・長期経営計画書、経営 課題一覧表の他、各種会議議事録、従業員アンケートなどである。

② 社内環境分析のポイント
 社内環境を分析する際のポイントは「垂直軸(ヒエラルキー軸)」とF水平軸(テー マ軸)」の二つの切り口から迫ることである。
 垂直軸とは経営理念から業務へ向かう軸のことで、経営理念、経営目標、経営戦略、 経営計画、管理、業務などを視点とする。一方、水平軸とは組織の部門構成に見られる ように、商品、価格、販売力、チャネル、技術、生産、研究、開発、情報、人事などを キーワードとして整理することである。





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